await 演算子

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await 演算子はプロミス (Promise) を待ち、履行値を取得するために使用します。非同期関数の中、またはモジュールの最上位でのみ使用することができます。

構文

js
await expression

引数

expression

待つ Promisethenable、または何らかの値です。

返値

プロミスまたは thenable オブジェクトの履行値、または式が thenable でない場合は、式自身の値。

例外

プロミスまたは thenable オブジェクトが拒否された場合、拒否理由の例外が発生します。

解説

通常、awaitPromiseexpression として渡して、プロミスをアンラップするために使用します。await を用いると、プロミスが決定(つまり、履行または拒否)されるまで、その周囲にある async 関数の実行が一時的に停止されます。実行が再開されると、await式の値は履行されたプロミスの値になります。

プロミスが拒否された場合、await 式は拒否された値で例外を発生します。await 式を格納した関数は、エラーのスタックトレースに表示されます。それ以外の場合、拒否されたプロミスが待機されなかったり、すぐに返されたりすると、呼び出し側の関数はスタックトレースに現れません。

expressionPromise.resolve() と同じように解決されます。常に ネイティブの Promise に変換され、待ち受けされます。もし expression が以下の場合、

  • ネイティブの Promise(これは expressionPromise またはそのサブクラスに属し、かつ expression.constructor === Promise であることを意味します)の場合: プロミスは then() を呼び出すことなく、直接使用され、ネイティブに待ち受けられます。
  • Thenable オブジェクトの場合(ネイティブでないプロミス、ポリフィル、プロキシー、子クラス、など): 新しいプロミスは、ネイティブの Promise() コンストラクターで、オブジェクトの then() メソッドを呼び出して、resolve コールバックを渡すことで生成します。
  • Thenable ではない値: 履行済みの Promise を構築して使用します。

用いたプロミスが既に履行された場合でも、非同期関数の実行は次のティックまで一時停止します。その間に、非同期関数の呼び出し側が実行を再開します。下記の例をご覧ください

await は非同期関数やモジュールの内部でのみ有効であり、それ自体が非同期で、プロミスを返すので、await 式はメインスレッドをブロックすることはなく、実際に結果に依存するコード、つまり await 式の後に実行を延期するだけです。

プロミスの履行を待つ

Promiseawait 式に渡された場合、 Promise が履行されて履行値を返すのを待ちます。

js
function resolveAfter2Seconds(x) {
  return new Promise((resolve) => {
    setTimeout(() => {
      resolve(x);
    }, 2000);
  });
}

async function f1() {
  const x = await resolveAfter2Seconds(10);
  console.log(x); // 10
}

f1();

Thenable オブジェクト

Thenable オブジェクト は同様に履行されます。

js
async function f2() {
  const thenable = {
    then(resolve) {
      resolve("resolved!");
    },
  };
  console.log(await thenable); // "resolved!"
}

f2();

これは同様に拒否されます。

js
async function f2() {
  const thenable = {
    then(_, reject) {
      reject(new Error("rejected!"));
    },
  };
  await thenable; // Throws Error: rejected!
}

f2();

プロミスへの変換

値が Promise でない場合、 await は値を解決された Promise に変換し、それを待ちます。待ち受ける値に関しては、呼び出し可能な then プロパティがない限り、そのアイデンティティは変わりません。

js
async function f3() {
  const y = await 20;
  console.log(y); // 20

  const obj = {};
  console.log((await obj) === obj); // true
}

f3();

拒否されたプロミスの処理

Promise が拒否された場合、拒否された値で例外が発生します。

js
async function f4() {
  try {
    const z = await Promise.reject(new Error("rejected!"));
  } catch (e) {
    console.error(e); // Error: rejected!
  }
}

f4();

プロミスを待つ前に catch() ハンドラーを連結すれば、try ブロックなしで拒否されたプロミスを処理することができます。

js
const response = await promisedFunction().catch((err) => {
  console.error(err);
  return "default response";
});
// response はプロミスが拒否された場合、"default response" になります。

これは、promisedFunction() が同期的にエラーを発生させることはなく、常に拒否されたプロミスを返すという前提で作られています。これは、適切に設計されたプロミスベースの関数のほとんどがそうであり、通常は次のようになります。

js
function promisedFunction() {
  // エラーが発生する可能性を最小限にするため、プロミスを即座に返す
  return new Promise((resolve, reject) => {
    // 非同期に何かを行う
  });
}

しかし、promisedFunction() が同期的にエラーを発生した場合、そのエラーは catch() ハンドラーによって捕捉されません。この場合、try...catch 文が必要になります。

最上位の await

await キーワードは、モジュールの最上位は単独で(非同期関数の外で)使用することができます。つまり、 await を使う子モジュールを持つモジュールは、子モジュールが実行されるのを待ってから、自分自身が実行されるようになります。他の子モジュールの読み込みをブロックすることなく、実行することができます。

以下は、 Fetch API を使用し、 export 文の中で await を指定したモジュールの例です。これを含むすべてのモジュールは、コードを実行する前に読み取りが解決するのを待ちます。

js
// fetch request
const colors = fetch("../data/colors.json").then((response) => response.json());

export default await colors;

await の制御フローの影響

コード(非同期関数またはモジュール内)で await に出会うと、 await の対象となる式が実行され、その式の値に依存するすべてのコードは一時停止されます。制御は関数を終了し、呼び出し側に戻ります。待機中の式の値が解決されると、一時停止したコードを続ける別の マイクロタスクがスケジュールされます。これは、待機中の値がすでに解決済みのプロミスであったり、プロミスではなかったりする場合でも行われます。実行は、スケジュール済みの他のすべてのマイクロタスクが処理されるまで、現在の関数に戻りません。例えば、次のコードを考えてみましょう。

js
async function foo(name) {
  console.log(name, "start");
  console.log(name, "middle");
  console.log(name, "end");
}

foo("First");
foo("Second");

// First start
// First middle
// First end
// Second start
// Second middle
// Second end

この場合、関数 foo は、await 式が含まれていないため、効果は同期的です。 3 つの文は同じ刻みで実行されます。したがって、 2 つの関数呼び出しは、すべての文を順番に実行します。プロミスの場合、この関数は次のように表されます。

js
function foo(name) {
  return new Promise((resolve) => {
    console.log(name, "start");
    console.log(name, "middle");
    console.log(name, "end");
    resolve();
  });
}

しかし、await が 1 つでもあると、その関数は非同期となり、以降の文の実行は次のティックまで延期されます。

js
async function foo(name) {
  console.log(name, "start");
  await console.log(name, "middle");
  console.log(name, "end");
}

foo("First");
foo("Second");

// First start
// First middle
// Second start
// Second middle
// First end
// Second end

これは次のものに相当します。

js
function foo(name) {
  return new Promise((resolve) => {
    console.log(name, "start");
    resolve(console.log(name, "middle"));
  }).then(() => {
    console.log(name, "end");
  });
}

余分な then() ハンドラーは、非同期操作を待機しないため、コンストラクターに渡された実行者と統合することができます。ただし、このハンドラーが存在すると、 foo が呼び出されるたびにコードが 1 つのマイクロタスクに分割されます。これらのマイクロタスクは、相互に絡み合ってスケジュールされ、実行されます。これにより、コードの速度が低下したり、不要なレースコンディションが発生したりする可能性があります。したがって、 await は必要な場合(プロミスをその値にラップ解除する場合)にのみ使用してください。

マイクロタスクは、プロミスの解決だけでなく、それ以外のウェブ API によってもスケジュールされ、同じ優先度で実行されます。この例では、 queueMicrotask() を使用して、各 await 式が検出されたときにマイクロタスクキューがどのように処理されるかを示しています。

js
let i = 0;

queueMicrotask(function test() {
  i++;
  console.log("マイクロタスク", i);
  if (i < 3) {
    queueMicrotask(test);
  }
});

(async () => {
  console.log("非同期関数開始");
  for (let i = 1; i < 3; i++) {
    await null;
    console.log("非同期関数再開", i);
  }
  await null;
  console.log("非同期関数終了");
})();

queueMicrotask(() => {
  console.log("非同期関数の呼び出し後の queueMicrotask()");
});

console.log("スクリプトの同期部分の終了");

// ログ出力:
// 非同期関数開始
// スクリプトの同期部分の終了
// マイクロタスク 1
// 非同期関数再開 1
// 非同期関数の呼び出し後の queueMicrotask()
// マイクロタスク 2
// 非同期関数再開 2
// マイクロタスク 3
// 非同期関数終了

この例では、非同期関数が再開される前に常に test() 関数が呼び出されるので、それぞれがスケジュールするマイクロタスクは常に絡み合うように実行されます。一方、awaitqueueMicrotask() はどちらもマイクロタスクをスケジュールするので、実行順序は常にスケジューリングの順序に基づきます。このため、"queueMicrotask() after calling async function" のログ出力は、非同期関数が最初の時刻に再開した後に行われます。

スタックトレースの改善

非同期関数からプロミスを直接返す場合、await が省略されることがあります。

js
async function noAwait() {
  // Some actions...

  return /* await */ lastAsyncTask();
}

しかし、lastAsyncTask にて非同期にエラーが発生する場合を考えてみましょう。

js
async function lastAsyncTask() {
  await null;
  throw new Error("failed");
}

async function noAwait() {
  return lastAsyncTask();
}

noAwait();

// Error: failed
//    at lastAsyncTask

スタックトレースには lastAsyncTask だけが現れますが、これはプロミスが noAwait から既に返された後に拒否されたためです。ある意味、プロミスは noAwait と無関係と言えます。スタックトレースを改善するには、await を使用してプロミスをアンラップし、例外が現在の関数に使用されるようにすることができます。例外はすぐに新しい拒否されたプロミスにラップされますが、エラー作成中に呼び出し側がスタックトレースに現れます。

js
async function lastAsyncTask() {
  await null;
  throw new Error("failed");
}

async function withAwait() {
  return await lastAsyncTask();
}

withAwait();

// Error: failed
//    at lastAsyncTask
//    at async withAwait

一般的な認識に反して、 return await promise は、仕様とエンジンがネイティブプロミスの解決を最適化するため、 return promise と同等以上の速度です。 return promise の高速化の提案があり、V8 の async 関数の最適化についても読むことができます。したがって、コーディングスタイル上の理由がない限り、 return await を常に推奨します。

仕様書

Specification
ECMAScript® 2026 Language Specification
# sec-async-function-definitions

ブラウザーの互換性

関連情報